ルッキズムに引導を渡せ!? 太った米国人文筆家の『わたしの体に呪いをかけるな』〈週刊朝日〉
リンディ・ウェスト著の『わたしの体に呪いをかけるな』(金井真弓訳、双葉社 2530円・税込み)を
東北芸術工科大学講師でライターのトミヤマユキコさんが評する。

リンディは太っていて、自分のことを「デブ」と呼ぶ。
でも、だからって、他人から侮辱されることをよしとしているわけじゃない。
実際、彼女は自分をブタ呼ばわりするタチの悪いインターネットトロール
(日本で言うところの「荒らし」)を放置せず、
ラジオ番組に呼んで語り合ったことさえあるのだ。
嫌なやつと出くわしたら敵認定して遠ざけてしまいたくなる人が大半だと思うが、彼女は違う。
近づいて、声を聞き、分析する。
そうすると、憎むべきトロールが実は気の毒な人だとわかったりする。
無知がもたらす闇に、知という光を招き入れる。それが彼女のスタイルである。


「わたしは肥満であることを嫌悪している」という彼女は
「わたしは肥満であることを愛してもいる」とも語る。

「かつてのわたしは、我が国の文化において太っていることは溺れているようなものだ
(嫌悪や非難の海に溺れ、涙を拭いたティッシュの海に溺れるのだ)と言っていた。
しかし、最近では、太っていることはむしろ燃えているようなものだと思う。

三十年間も火の中にいたから、わたしの鉄製の骨は鋼鉄になっている」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c35081d4d8fc5a3aeaaf19d32b4f7d073e970664