【コラム】いま韓国にゼレンスキーほどの政治家はいるか

(略)
 ゼレンスキー大統領はロシア暗殺組の投入が知らされた後も米国の脱出提案を拒否してウクライナに残り軍服を着て兵士を激励し、
国民を一つにまとめた。また、欧州議会の画像演説で「ウクライナの子どもたちが生き続けるところを見たい。
自由のために戦っている」という感動的な演説で欧州をはじめとする世界の人々の心を動かした。

 その結果、支持率90%を超える自国民の圧倒的な支持はもちろんのこと、全欧州守護の象徴的人物になりつつある。
ところでゼレンスキー大統領に対して、特に大韓民国執権勢力だけは冷淡を越えて嘲弄まではばからないからあきれる。
「共に民主党」大統領候補から現政府の元・現職法務部長官らいわゆる進歩陣営の有力要人は
戦争勃発直後からコメディアン出身という理由で侵略されたゼレンスキー大統領を軽蔑した。
世界の平和を蹴り飛ばし、自国人をクラシック公演からサッカー競技、さらに数学オリンピック(五輪)に至るまで
各種世界舞台から消したロシアのプーチンに対しては沈黙しながらだ。
野党も国際的な恥さらしを演じた与党幹部の揚げ足取りだけに汲々としているから、残念なのはどちらも同じだ。

 与野党を問わず、果たしてゼレンスキーのように暗殺の脅しにも、脱出提案を蹴って家族と共に祖国に残って
最後まで戦う政治家や国家指導者が何人いるだろうか。そうなる前まではもちろん分からないが、過去の行動を見れば、
残念なことに国民の大多数はおそらくこれといった期待はしないだろうと思う。
実利や国益という大層なレトリックを掲げ、責任を回避する不明瞭な態度で結局名分と実利を
すべて失う愚を冒すことがなければ幸いだと考えないだろうか。

 大統領選挙まであと1週間も残っていない。重要な瞬間のたびに、目の前の利益ではなく
大韓民国の子どもたちの未来のために選ぶべき政治家は誰なのか苦心して投票しなければならない。
過去に私たちが体験したことと同じような悲劇を再びくり返してはいけないが、もし遠い将来、私たちの子どもが苦境に立たされた時、
勇気を持って相対して戦い、世界の助けを引き出すことができることを願うばかりだ。

アン・ヘリ/論説委員

https://japanese.joins.com/JArticle/288419