去年、名古屋市にある入管施設で収容中に亡くなったスリランカ人の女性の遺族が、入管は体調が悪化していた女性に必要な医療を提供せずに死亡させたとして国に1億5000万円余りの損害賠償を求める訴えを起こしました。
1年前の3月6日、名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていたスリランカ人の女性、ウィシュマ・サンダマリさん(33)が体調不良を訴えて亡くなりました。

その後、8月に出入国在留管理庁が、適切な治療を行う体制が不十分だったなどとする最終報告を公表しましたが、その内容に納得していない妹のポールニマさんなど遺族3人は、4日、国に1億5000万円余りの損害賠償を求める訴えを名古屋地方裁判所に起こしました。

訴えの中では入管は体調が悪化していたウィシュマさんの収容を続け、必要な医療を提供せずに死亡させたと主張するとともに、施設内でのウィシュマさんの様子をうつしたすべての映像のデータが審理に必要だとして国側に提出させるよう裁判所に求めています。

妹のポールニマさんは、記者会見で「日本に来て1年近くたっても、真相解明ができなかったので裁判を起こすことにしましたが今の気持ちは心配しかありません。適切な医療が行われなかったのはなぜなのか、なぜ死なせてしまったのか、きちんと知りたい」と話しました。

一方、名古屋出入国在留管理局は、「訴状の内容を検討して適切に対応して参ります」とコメントしています。

2022年3月4日 18時02分 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220304/amp/k10013514441000.html