中国共産党の支配体制に対する米国の政治姿勢は過去5年で大きく様変わりした。それには正当な理由がある。しかし、米ウォール街の一部の人々は、依然として1990年代の世界に住んでいる。

 大手ヘッジファンド、米ブリッジウォーターの創業者で億万長者のレイ・ダリオ氏が今週、ニュース専門放送局CNBCの番組で示した鈍感さは特筆ものだ。対中国投資と中国政府の人権侵害について質問された同氏は、米国と中国を同等に扱ってこう述べた。「米国の状況を目にしたとき、私は米国では一体何が起きているのかなどと言い、わが国の人権やその他の問題を理由に、米国への投資を見送るべきだろうか」

 ダリオ氏は中国が「独裁的なシステム」を持つことを認めた(マイケル・ブルームバーグ氏が2020年に習近平国家主席のことを「独裁者ではない」と主張したのよりはましだ)。しかし、中国の「人を消す」政策について問い詰められると、同氏は「それが彼らのやり方だ。われわれにはわれわれのやり方がある」と述べた。それを黎智英(ジミー・ライ)氏に伝えてはどうか。同氏は香港の自治に関する約束を守るよう中国に求めただけで、収監されている。
https://jp.wsj.com/articles/ray-dalios-china-equivalence-11638502038