愛媛県の被差別部落で生まれ育った。中学3年の時、結婚差別についての授業で友人が「部落の人とは結婚できない。子どもがかわいそう」と言った。親から「部落の人は怖い」と聞かされてきたという。実際に怖い目にあったのかと問うと、「ない」。同世代の友達に、そんな偏見を持たれていたことがショックだった。

 気がついたらその場で立ち上がっていた。「俺がその部落の人間やで」。教室中の視線が集まった。「俺、怖いか。何か違うんか。俺自身を見て判断してくれや」。言い終わると、全身の力が抜けて涙があふれた。すると、クラスメートらが次々に打ち明け始めた。父親がいないのを隠していたこと、容姿をからかわれて傷ついていること――。川口さんのカミングアウトを、それぞれが自身と重ねて受け止め、思いを返してくれた。クラスの雰囲気が変わった。

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