https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220210/k10013476691000.html

「卵黄のう」になる能力ある幹細胞作製に成功 千葉大など

マウスの受精卵を使って特殊な幹細胞を作り出すことに成功したと、千葉大学などのグループが発表しました。これまでの技術では作ることができなかった、受精卵の中の重要な細胞に変化できるということで、生命が生まれる仕組みを探る研究に役立つと注目されています。

この研究は、千葉大学の大日向康秀講師と理化学研究所などのグループが、科学雑誌の「サイエンス」で発表しました。

受精卵は分裂を始めたあと、体になる細胞、胎盤になる細胞、それに「卵黄のう」という組織になる細胞の3種類に変化しますが、このうち「卵黄のう」だけは、これまでの技術では作り出すことができませんでした。

グループでは、マウスの受精卵に特殊な処理を行い、卵黄のうになる能力のある新しい幹細胞を作製することに成功したということで「PrES(プレス)細胞」と名付けました。

この幹細胞を、卵黄のうができなくしたマウスの受精卵に注入して育てたところ、正常な子どものマウスが生まれたということです。

また、実際の受精卵に近づけるため、この幹細胞を別の細胞と混ぜて育てたところ、一部が着床して成長する兆候がみられましたが、それ以上は成長しなかったということです。

大日向講師は「生命ができるための最後のピースを埋めることができた。単純な組織から命が生み出される仕組みの解明につながると期待している」と話しています。