ウクライナ侵攻で露呈したESGの矛盾、ロシア国営企業に資金流入
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-08/R8CWHIDWRGG301
人類と地球の保護を目的としたはずのESG(環境・社会・企業統治)投資が、ウクライナに侵攻したロシアの独裁政権に資金を提供する形となっている現状が露呈している。

  名前に「ESG」を冠した複数のファンドが、ロシア国営エネルギー大手ガスプロムやロスネフチ、同国の銀行最大手ズベルバンクの株式を保有している。
これらのファンドはロシア国債も保有しており、最終的にプーチン大統領の独裁政治の財源となる資金を提供していることになる。

2000年代半ばにESGという言葉を考案した組織を率いていたポール・クレメンズハント氏は、今や「ESG投資家が失敗した」ことは明らかだとの見方を示す。

助言会社ブレンデッド・キャピタル・グループの創業者である同氏は「ESGは効果的に利用されていない」と指摘する。
投資家は企業のリスクだけでなく、システム全体のリスクを見極めるべきだが、実際には「楽な金もうけへの執着が全てに優先されている」と語った。

ロシアによるウクライナ侵攻で、ESG分野の多くに予期外のエクスポージャーがあることが急速に明らかになりつつある。
モーニングスターの研究員らの試算によれば、侵攻直前の時点で世界のサステナブル・ファンドの14%がロシアの資産を保有していた。

  「ウクライナの事案はこれまでで最も重要なESGの案件の一つだ」。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズのグループ会社ミローバのフィリップ・ザワティー最高経営責任者(CEO)はこう話す。
「これはエネルギーや人権、そして、われわれが民主主義の世界に生きたいのかという問いにとって、極めて重要な問題だ」。

つづく