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函館で毛虫が大量発生!? 温暖化影響か #道南WEB取材班

ワクチン接種もすすみ、秋晴れのもと屋外活動をそろそろ始めようとした矢先、函館市では「ガ」の毛虫が大量発生しているという話を聞きつけさっそく取材を始めた。 実態は?原因は?

秋晴れの下 公園は親子連れの姿もなく・・
訪れたのは市内の千代台公園。
空が高い秋晴れの午前。しかし親子連れなどの遊ぶ姿はみられない。
代わりに目にとまったのは・・・。


大量の毛虫。
建物の壁やベンチ、そのほか遊具など至る所に毛虫が。


取材中の私の背中にも気がつけば毛虫が1匹・・・。
公園内には想像していたよりも多くの毛虫がいた。


犬を散歩中の女性
「毛虫がすごい多くて気持ち悪いです。気をつけながら犬の散歩をしています。犬が間違って食べたら大変だと思います」
毛虫は「アメリカシロヒトリ」 毒はないとはいえ・・


市などに確認すると市内で大量に発生しているのは「アメリカシロヒトリ」という「ガ」の毛虫ということがわかった。
専門家に聞いたところ以下のような生態であることがわかった。

▼まず、毛に毒はないということ。しかし皮膚が弱い人は炎症のおそれがあるので触れないほうがよい。
▼もともとは北アメリカ原産の「ガ」。日本で初めて見つかったのは1945年で、戦後アメリカ軍がいろいろな荷物を持ってきた時に入ってきたのではないかと言われている。昭和40年代に関東地方では大発生したことがある。
▼北海道では越冬できないと言われていたが2000年に函館で初確認。その後2014年に急増した。
▼毛虫はサクラやヤナギ、ナナカマド、プラタナスなどの木を好んで寄生し、葉を食い散らす傾向がある。

函館市は駆除すすめるも・・・

函館市によると9月の1か月間で寄せられた苦情や駆除依頼の件数は190件。
例年に比べて大幅に増えているらしい。
「公園に毛虫がたくさんいるから駆除してほしい」「家の壁に毛虫が這っている」などという内容が多いという。
市は業者に依頼して公園などに殺虫剤をまいて駆除をすすめているが、駆除をしても再び発生することもあり、対応が追いついていないとのことだった。


函館市 村田伸二 公園河川管理課長
「木が多い公園や道路に大量に発生しているようだ。個人宅についてはご自身で対応していただきたいが市が管理する施設や道路などでそうした状況があれば順次対応していきたい」。
大量発生の原因は?

ではなぜことし大量発生したのか。そして今後の見通しは?

北海道大学総合博物館 大原昌宏教授
「夏の気温が高い年にはアメリカシロヒトリが大発生しているということのようだ。ことしも夏はかなり暑かったので大発生というか、非常に増えたということだと思う。これから温暖化がすすみ生息範囲が北のほうに上がっていくとなると札幌あたりで大発生する可能性もある」。
「2014年以降増えているようなので、毎年発生する可能性はあるかもしれない。本州ではアメリカシロヒトリが減少した原因が明確に分かってないようだが、鳥やハチが(捕食するなど)そのあたりのコントロールがうまくいくようになって減少したのではないかとも言われている。そういった関係にあると思うのですこし長い目で見ないといけないかもしれない」。


専門家などによるとアメリカシロヒトリは6月ごろと9月ごろに2回発生するとのこと。
家の木にアメリカシロヒトリが発生したら、毛虫と一緒に枝や葉を切って、燃やすか、そのまま燃えるゴミに出すのが対処法だということです。あまりに大量に発生するときは駆除の専門家に依頼することを勧めている。