中国政府の目標である「共同富裕」に関連し、全国政協経済委員会の劉世錦(リュ・シージン)副主任が「富裕層を圧迫することが貧困根絶につながるとは限らない。最終的に、全国民を貧困に導くことになる」と発言し、注目を集めている。

 中国メディア「中国新聞社」の報道によると、劉副主任は「中国は改革開放以来40年で、一部の人が先に財産を築いた。その過程の中で確かに経済成長がもたらされた。収入格差は広がったが、それが生産力の向上にもある程度寄与する結果となった」と述べた。

 「共同富裕」については「最も重要なのは低所得層を支援することだ。現在、まだ低所得層あるいは中所得層以下にある人々が、自身のヒューマン・キャピタルを高めることがカギとなる」とした上で機会均等の重要性にも触れ、「これらの人々が能力を向上させたら、できるだけ彼らの就業機会も増加するようにしなければならない」と強調した。

 劉副主任はさらに「共同富裕を推進するには、分配制度を改革しなければならない。最初の分配と再分配、さらに第三次分配が必要だ。(第三次分配においては)社会の慈善・公益活動に力を入れなければならない」と主張し、「第三次分配は原則的に自主的なものでなければならない。『富裕層を殺して貧困層を助ける』という発想ではできない。富裕層を圧迫することは、これから起業しようとする人々の積極性をくじくことになる。また、富裕層を圧迫することは、長期的に見ると低所得層の状況改善につながらず、結局は全国民の『共同貧困』につながるだろう」と強調した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e05b11fa46ce9af102489d41d360ddc8f62206e6