https://news.yahoo.co.jp/articles/7238a6b170b4dbb9c26400cb1f10b9df520891fc?page=1
> たとえばベネズエラの評論家、アルベルト・アランギベルは、プーチンによる侵攻を「必要な戦争だった」と語っている。また中国人学者の王朔(ワン・シュオ)は、今回の出来事は「アメリカが作り出した危機」だと指摘。「アメリカの戦略的利己主義が世界にさらなる災いをもたらした」と同氏は中国政府系の新聞「環球時報」に語り、ウクライナを戦争に巻き込んだワシントンの「利己的で短絡的な行動」を非難した。

さらに、メキシコ紙「ラ・ホルナダ」の論説委員は次のように語っている。「ウクライナ侵攻の唯一の原因がプーチンの『野心と邪悪さ』であるという幻想を捨て、NATOによる東側諸国に対する威圧がいかに災いへの道を開いたか、この『厳しい真実』に直面する時が来た」

南アフリカの主要な新聞である「デイリー・マーベリック」は「ウクライナ侵攻に対する西側の対応は偽善的だったか? 紛れもなくイエスだ」と論じた上で、プーチンの「主権国家に対する不当かつ違法な猛攻」も非難した。

そしてジョー・バイデンが制裁としてロシアの石油を禁輸すると発表したとき、ベネズエラメディア「テレスール」のマドレーヌ・ガルシア記者は次のようにコメントしている。「いつになったら、アメリカの罪と侵略行為に制裁が下るのだろう?」

また、チャビスタ(マドゥロ政権を支持するチャベス派)のコメンテーターであるアランギベルによれば、プーチン大統領は侵略者ではない。「かつてないほど残忍で強烈な、人を悪魔化へ向かわせる(西側諸国による)キャンペーン」の犠牲者だと主張する。同氏は政府系タブロイド紙「ウルチマス・ノーティシアス」に、次のように書いた。「このキャンペーンは、少なくとも10年間、ニコラス・マドゥロ大統領に対して行われてきたものに匹敵するだろう」

北朝鮮の国営通信社である「KCNA」は、西側による制裁を「権力の乱用」だと報じた。「ウクライナ危機の根本的な原因は、他国に対して高圧的な態度を取り、権力を乱用しているアメリカと西側の覇権主義政策にある」と、同メディアは外務省関係者の発言を引用している。

キューバ共産党の機関紙「グランマ」は、ロシアに対するアメリカの対応を「ヤンキー帝国による無慈悲なキャンペーン」だと非難しつつ、紛争そのものはモスクワとキエフの「不和」にすぎないと報じた。

シリアの国営メディアもロシア寄りだ。というのも、同国のメディアが全面的に支持しているバッシャール・アル・アサド大統領は、プーチン大統領が引き起こした戦争を支持する立場にいるからだ。アサド大統領は過去7年間にわたり、シリアで自らの地位を固めるうえでロシアに助けられてきた背景がある。

西側諸国も戦争を引き起こしてきたじゃないか。それなのに戦場がヨーロッパになった途端、まるでかつてない大事(おおごと)が起きたように騒ぐなんて、どこかおかしいのではないか──そんな違和感を覚えている国もあるようだ。「西側諸国のダブルスタンダードに対する批判は、ロシア同盟国の国営メディアだけにとどまらない」と英紙「ガーディアン」は報じる。

南アフリカの日刊紙「メール&ガーディアン」のオピニオン記事は、この紛争を「矛盾に満ちている」とした。ウクライナで起きている戦争を「ヨーロッパ以外で起きている紛争よりも酷いもの」として扱っているように感じられる西側メディアの報道、そして政府の反応を批判しているのだ。

「ロシアの介入によるウクライナに対する暴力と人命の損失を嘆きながらも……一歩下がって、世界の他の国々がこの紛争をどう受け止めているかを見ることには価値があるだろう」

ナイジェリアの「ガーディアン」紙の見出しには「支配への恐れ、潜在的な敵がロシアによる侵攻に拍車をかけた」とあった。ヨーロッパにおけるNATOの拡張政策が、今回の侵略が起きた原因の一つであるとの見方が、広く浸透していることが反映されている。
(続く)