小学生なりすましで炎上 自らを批判した元首相に背中押されるまで
柴田悠貴2022年3月13日 17時00分

 かつて「10代の政治活動家」として注目を集めた青年が、アスリートとして北京パラリンピックの舞台に立った。アルペン競技の日本代表、青木大和選手(28)だ。政治活動での挫折や不慮の事故を乗り越え、世界に挑んだ。

 学生時代、政治への関心を若い人たちに広げようと、市民団体「僕らの一歩が日本を変える。」を設立した。高校生と国会議員の討論会を開くなど、その活動は話題を呼んだ。「勘違いかもしれないが、世の中を変えていく若いリーダーの責任感のようなものが自分の中にあった」

 しかし2014年秋、大きな転機を迎える。衆院解散について議論するウェブサイトを立ち上げる際、架空の小学4年生になりすまして当時の安倍政権を批判した。ネットの反響は大きく、身分を偽ったことについて安倍晋三首相から「卑劣な行為」とSNSで非難された。一連の騒動を謝罪し、没頭していた政治活動から身を引いた。

 挫折の中で新しい道を模索していた矢先、予期せぬ事故に見舞われる。16年1月、自宅マンションの階段で転倒し、脊髄(せきずい)を損傷する大けがを負った。医師からは「もう歩けない」と診断された。



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