中国がロシア・ウクライナ戦争における「最大の勝者」…米メディアが主張
https://news.yahoo.co.jp/articles/6d1c8bf146bd2a93b135450d48273ed993d79b74


ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、米国では「中国が最終的な勝者となる」という見方が強まっている。

米紙「ニューヨークタイムズ」は、中国政府がプーチン大統領の批判を一貫して避けるなど、今回の事態から距離を置いていることを指摘。中国政府は国際社会によるロシア制裁を批判しつつ、欧米での自国の経済的利益を保護するため制裁に加わる可能性もあると主張している。

報道によると、中国の習近平国家主席は先週、間接的な表現ながら、ヨーロッパ各国の首脳に対して「協議と和平」実現のために協力すると伝えた。その上で、中国政府の狙いは、大国間の争いで動揺する世界の中で、国際社会が中国を「安定した柱」として重視するよう仕向けることだとしている。

香港中文大学の鄭永年(ジョン・ヨンニェン)教授は「中国が国家戦略を大きく誤らなければ、今後も発展は続くだろう。そして、新たな国際秩序の構築過程においてより重要な役割を果たす能力と意志を持つことになるだろう」と主張している。

また、ワシントンにあるスティムソン・センターの孫韻(スン・ユン)主任は「長い目で見ると、ロシアは国際社会から見捨てられる。ロシアが助けを求められる国は中国以外になくなる」と述べた。

ただ、「ニューヨークタイムズ」は中国の未来には「不透明」な部分もあると指摘している。ロシアと接近しすぎれば、世界各国からの中国に対する敵意を強める可能性があるためだ。

南京大学の朱鋒(ジュ・フォン)教授は「我々は非常に焦っている。なぜなら、ロシア・ウクライナ戦争がヨーロッパの米国への傾斜をもたらし、結果的に中国がさらに困難な状況に陥るためだ」と述べた。その上で、米国は太平洋諸国や日本・オーストラリアと協力し「さらに強硬な軍事戦略を取ることになる。そうなると、全体的な状況は中国に不利だ」と強調した。

また、記事では「中国は今回の戦争とそれによるロシア制裁のため、経済的に大きな影響を受ける可能性がある。だが、中国の経済規模は大きいため、そのダメージに耐えることはできるだろう。中国企業は最終的に切羽つまったロシアとの貿易から利益を獲得するかもしれない。それは2014年のロシアによる『クリミア併合』時にも起こったことだ」と指摘している。

中国はロシアとの関係強化を米国に対抗する1つの手段と考えている。今回の戦争を通じて、ロシアの中国に対する外交的・経済的依存はさらに深まるだろう。