ESG Weekly: 東大に続け、大学SDGs債に広がりの兆し−投資家待望
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-17/R8IA9WT0G1KY01
大学の新たな資金調達方法として注目が集まる大学債。ことしに入ると、2020年にSDGs(持続可能な開発目標)債を発行した東京大学に続けとばかりに、大阪大学などが発行に名乗りを上げた。

  1月にSDGs債の発行を表明した阪大の中谷和彦財務・施設担当理事は「東大が大学債発行の壁をブルドーザーで崩して、市場から資金調達できるパスが開いた」と表現。
「それをじっと眺めるのではなく、ぜひ2番手として債券を発行したいとの考えがあった」と述べた。

20年6月に国立大学法人法施行令が一部改正され、付属病院などの土地取得などに限定されていた発行目的に先端的な教育研究が加わり、大学債を出しやすい環境が整った。

先陣を切った東大は同年10月と21年12月に年限40年のソーシャルボンド(社会貢献債)を合わせて300億円発行。昨年11月には初回債のインパクトリポートを公表し、
「ウィズコロナ、ポストコロナ社会」に適合した学内施設への改修など、調達資金の充当先事業の進捗(しんちょく)状況を報告している。

阪大の中谷氏は「大学が資金調達をする際は、やはり社会課題を解決するために使って将来を開いていくべきではないか」とし、
「今はSDGsをどう達成していくかが一番の社会課題で、自然とSDGs債への流れにつながった」と説明した。

  東大と阪大に続いて、東北大学も22年度をめどにSDGs債を発行する意向を示した。植木俊哉財務担当理事は、発行は検討の俎上(そじょう)にあるとした上で
「次世代の産学連携の起爆剤となるような新しい放射光施設の整備や、東日本大震災後に創設された東北メディカル・メガバンク機構のゲノム解析研究拠点も含め、
研究開発などに資金を活用するというのは大きな柱になり得る」とみている。

つづく