旅行経験のある人は生活者全般に比べてSDGs(持続可能な開発目標)への意識が高い半面、実際の旅行中は行動が著しく低下する――。
JTB総合研究所の調査でこんな実態が明らかになった。無意識に低下していたり、非日常では解放されたいといった気持ちや面倒くささが背景にあるが、
受け入れ先でなんでも用意されている“おもてなし”も一因となっている。サービスの手厚さは環境負荷などを助長しかねず、同社は今後に向けて検証の余地があると指摘している。

調査は昨年12月、全国18〜79歳の男女1万人に実施した。生活者のSDGsに対する認知度は若年層で高く、29歳以下の男性は詳しく知る者が12.5%と高かった。
一方で「知らない・聞いたことがない」も他の年代を上回り、二極化している。認知度と重要性への認識が比例関係にあることもわかった。

過去3年間の旅行経験者に限ると、意識と重要性の認識は生活者を上回り、日常生活での実践度も高かった。ただ実践度は旅行中になると一変。
「レジ袋・包装紙等の辞退」は71.3%から36.7%に低下し、食品ロスの削減、ゴミの分別は30ポイント以上低かった。

旅行でSDGs を意識するために地域やサービス提供側が行うべきことを尋ねたところ、「特にない」が34.9%と最多。
具体的な要望では、「個人が意識しなくても、行動自体が自動的にSDGsを推進する仕組みができている」(26.9%)がトップで、関心や自発性のなさもうかがえる。

調査対象の旅行期間は、観光公害が話題となり、観光の持続可能性が議論されるようになった時期に当たる。同社はコロナ禍を経てSDGsへの意識が変化していく可能性があるとみている。

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