米国で急拡大するジョロウグモ、侵入した南部から北上して東部一帯に広がるおそれも


ジョロウグモ(Trichonephila clavata)は2014年に意図せず米国に持ち込まれた。
おそらく貨物船に紛れ込んで東アジアからジョージア州アトランタまで運ばれたのだろう。
手のひらほどの大きさのジョロウグモは同州全体に広がり、隣接するノースカロライナ州やサウスカロライナ州、さらにはテネシー州やオクラホマ州の一部にも入り込んでいる。

生態学者のアンドリュー・デービス氏とベンジャミン・フリック氏は、あらゆる生物を調査するために米国じゅうを行き来している。

しかし、2人が鮮やかな黄色い体の大型外来グモを観察したのは、ジョージア州にある自宅の裏庭だった。

「おもちゃのフットボールそっくりなクモがこれほど頻繁に目に入れば、関心をもたないわけにはいきません」とフリック氏は話す。

自宅マンションの外にある木に、巣が10個もあるのを見つけたこともあるという。

 ジョロウグモが歯止めなく増え続けるなかで、ジョージア大学に所属するデービス氏と大学院生のフリック氏は、北上を止める要素があるのかどうかを知りたいと考えた。

例えば、ジョロウグモに近い仲間で、150年以上前に同地に侵入した熱帯原産のアメリカジョロウグモ(Trichonephila clavipes)は、気温の低さが妨げとなって、アトランタ近郊から大きく北上していない。

 しかし2人は実験によって、ジョロウグモが短時間、氷点下の気温にも耐えられることを明らかにした。

つまり、米国北東部のニューイングランド地方にまで広がる可能性がある。

「おそらく米国じゅうの人々が、このクモをもっとよく目にすることになるでしょう」とデービス氏は言う。

両氏の研究結果は2月17日付けで学術誌「Physiological Entomology」に発表された。


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