「有事の円」見られず円安加速 日米の金利差拡大だけではない理由

外国為替市場で円安が加速している。
米国が利上げに動き、金利の高いドルを買う動きが強まっているのが大きな要因だ。
しかし、かつては災害や金融危機などで市場のリスクが高まると、円が買われる「有事の円買い」が見られたが、ウクライナ危機のさなかにある今回は逆の動きが進んでいる。
背景には、日本経済の構造変化なども関係しているようだ。

 外国為替市場では、ロシアが2月24日にウクライナに侵攻した後も、円は侵攻前と同じ1ドル=115円前後で推移した。
その後、3月10日に116円台に下落すると、22日に121円台をつけるまで、半月足らずで5円も下げた。

 直接的な要因は、米国の利上げだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、インフレを抑えるために0.25%幅の利上げを決定。
金融緩和を続ける日本との金利差の拡大が見込まれ、より高い運用益が期待できるドルを買って円を売る動きがFRBの決定前から広がった。
日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は18日、大規模な金融緩和の継続を決めた後の記者会見で「円安が経済にプラスに作用しているという構図に変わりはない」と明言。
改めて円安是正に消極的な姿勢を示したことも、円安を後押しした。
 しかし、かつては「有事の円」と呼ばれ、2008年のリーマン・ショック後や、11年の東日本大震災後には円高が一気に進み、1ドル=70〜80円台をつけたほどだった。
世界経済への不透明感が強まると、投資家がリスクを避けるため、株や海外通貨を売り、世界一の対外純資産国の日本の円にマネーが集まるから、とされてきた。
だが、今回のウクライナ危機下では、反対の動きが目立つのはなぜなのか。


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