子どもに野球をさせる環境が減ってきた

【藤田】全日本野球協会によると、小中学生の野球人口は2007年に66万4415人だったのが、2020年には40万9888人まで減ったそうなんです。子どもの数が減っているから野球をやる子が減るのは当たり前という人もいますけど、この減り方は少子化の7〜8倍のスピードらしいんですよね。

だから学童野球人口が減っているのは少子化だけが原因じゃないと思うんです。野球の魅力が低下しているというよりも、子どもに野球をやらせる環境が昔よりも減ってしまったのかなと感じています。

【藤田】そこには都市部と地方でだいぶ違いもあると思うんです。例えば多賀ではグラウンドが二面使える練習場があって、さらに隣にはテニスコートを改良した練習スペースが二面もある。グラウンドにはまず困らないですよね。

でもうちの子が所属している世田谷のチームだと、まず道路が混んでいることが多く車で40分かかってしまいます。だから自転車で移動していますがそれでも30分はかかります。グラウンドも2時間制だったりするので、例えば河川敷のグラウンドを2時間使ったら、今度は区の公園の中にあるグラウンドに移動したりするんです。その移動も車だと時間がかかるので当番の保護者が先導して子ども達を自転車で移動させるんです。

【辻】近くの小学校で練習はできないんですか?

【藤田】昔は使えていたと思うんですけど、今は校庭開放がなくなってしまいましたね。僕の住んでいる地域あたりだと、今は公園や広場でもボール遊びすらやらせてくれないところが多いです。都会では子どもが野球をする環境が大きく変わってしまいましたよね。野球に対する世間の注目と協力が昔よりも減ったということなんでしょうけど、野球をやる子ども、やらせたいと思う保護者が減ったことが原因だと思うんですよね。


【藤田】最近は子どもが野球を好きになるというか、野球チームに入るきっかけが大幅に減りましたよね。

【藤田】昔は地上波で当たり前のように巨人戦が放送されていて、プロ野球が全然分からない女子でもクロマティを知っていたりとか、巨人ファンじゃない子でも巨人の選手の応援歌を口ずさんだりとかしていましたよね。ヤクルトの池山隆寛の下敷きを持っている女子がいたりとか(笑)。

【辻】あと野球のアニメとかね。僕は毎週『ドカベン』を見るのが楽しみで楽しみで。他にも野球のアニメがたくさんありましたよね。本当に日常生活の中で野球との接点が減ってしまいましたよね。

【藤田】昔は公園などで子ども達が野球をやっていましたよね。ちゃんとしたチームではなくて、友達同士で野球をやるみたいなね。そういう野球との接点もなくなりましたね。うちの息子も僕が言わなかったら多分野球に興味を示さなかったと思うんです。

小さい子ども達が野球に触れる機会って、今はニュースで報道される大谷翔平のメジャーリーグでの活躍くらいじゃないですかね。息子の小学校では同じ学年で野球をやっている子が4人しかいないんです。今野球をやっている子って、保護者が野球をやっていたケースがほとんどだと思うんですよね。

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