あの“高成長企業”、創業者が急死→不正会計発覚で新興企業株価が一斉に暴落

(前略)

 グレイステクノロジーの上場廃止が大きな影を落としている、との見方もある。不正会計が発覚した製品マニュアル制作のグレイステクノロジー(東証一部)は、2月28日に上場廃止となった。最終取引は25日に行われた。

 翻訳会社に勤めていた松村幸治氏(故人)が1984年、国内初の製品マニュアル制作会社として創業。16年、東証マザーズに上場。18年、東証一部上場に昇格した。松村氏は21年4月、急性大動脈解離で死去。松村氏の急逝で大がかりな会計の不正が発覚したことになる。

 同社は2月18日、架空売り上げ計上などの不正会計問題をめぐり、現旧取締役などの役員の責任を追及すべきかどうかを判断するための調査委員会を同日付で設けたと発表した。4人の外部弁護士が調査し、損害賠償請求などの法的措置を検討する。

 22年1月末に公表した特別調査委員会の報告書には「松村会長が急逝。架空売り上げのつっかえ棒となる現金を入金する自転車操業ができなくなった。21年3月期の単独売上高のうち55%が架空売り上げだった」と書かれている。

 技術集約型の高成長企業というイリュージョンを創り出した結果、株価は17年に1万7500円の上場来高値をつけた。5ケタの株価が18年に東証一部に昇格するテコの役割を果たしたわけだ。外国人持ち株比率は当時、46%に達していた。投資家向け説明会を頻繁に開き、株価を上げることを経営目標にした、松村氏の「バルーン(風船玉)」経営だった。投資家はグレイスにまんまと一杯食わされたことになる。

https://biz-journal.jp/2022/03/post_286117.html