「ジェンダー論」は重要だが、バランスを欠くと表現の自由を制約することも

山田)去年(2021年)は表現規制が一層、厳しくなった部分があります。1つは「ジェンダー論」が議論されるようになりました。ジェンダーは大切な考え方なのですが、一方で、漫画のキャラクターに性別を付けてはいけないのではないかということや、公式のマスコットに対して、「なぜ男性をイメージしているのか」ということまで言われてしまうのです。そうなると、作者が自由に表現したいことができなくなってしまうという問題があります。

飯田)そこまで言われると。

山田)アカデミー賞も新たな基準をつくりました。それ自体は悪いことではないのですが、行き過ぎてしまうと自由にものがつくれなくなる。この1〜2年で、ジェンダーに関する議論は重要なものになりましたが、バランスを欠くと、表現については厳しい状態になるということです。