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伊藤さんは、5分ほどそうしていた。女性は返事をしなかったが、手すりをつかんで顔をうずめ、静かに泣いていた。
通行人が交番に伝え、駆け付けた警察官に女性は保護された。伊藤さんは「助かった」とほっとした。女性は泣きながら交番へと連れて行かれ、伊藤さんも警察官に状況を説明した。
■大学では心理学を
女性の事情は知らない。大学では心理学を学んでいた。交番から帰宅後、いろいろと考えた。
また死にたいって思うのかな。本当に助けてほしかったんだろうか。なぜ死にたいと思ったのだろう−。
自分も人間関係がうまくいかなかったとき「死んだ方が楽かもしれない」と考えたことはある。でも、それはぼんやりと思ったぐらい。友人に恵まれた大学生活は楽しいし、自ら死ぬのはやっぱり怖い。