国の機関が「違法行為」に加担? 「混迷」の度を増す外国人の労働問題
4/7(木) 12:41

 今月5日、国の機関である外国人技能実習機構が、技能実習生に労働組合の脱退を促していたことがわかった。
宮城県で活動する仙台けやきユニオンとNPO法人POSSEの仙台支部が記者会見で明らかにした。

 今回被害を受けたのは、仙台けやきユニオンに加盟するベトナム人技能実習生たちだ。
労働組合への加入は日本国憲法によって保障された「権利」であり、これを国の機関が妨害する行為は不当な権利侵害に当たる可能性がある。

 外国人技能実習生の権利を擁護するために存在するはずの外国人技能実習機構が、なぜ反対に権利侵害を疑われる事態になっているのだろうか。

■各地で起きる技能実習生への人権侵害
 現在日本では、岡山県で起きた暴行事件や北海道で起きた雇止めなど、外国人技能実習生に対する人権侵害の告発が相次いでおり、宮城県も例外ではない。

 仙台けやきユニオンによれば、過去には、コロナ禍での外出ルールを破ったという理由で不当解雇された技能実習生から相談を受け団体交渉を行い、転職を実現するなどの事案もあったという。

 今回問題となっているのは、宮城県石巻市にある水産加工業者の工場で技能実習生として働いていたベトナム人女性3人に起きた権利侵害だ。
同ユニオンによると、彼女たちは生活のために、2019年10月にベトナムから約100万円近くの借金を背負って来日したが、日本に来てからすぐに、様々な労働問題の被害にあっていたという。

 まず、会社役員が大声で怒鳴るなどといったハラスメントは日常的に起こっていた。また、就業時間の8時以前から出勤し、掃除や準備を行なうことが業務として命じられていたが、
それらに対する賃金を会社は支払っていなかった。

 さらに、技能実習生の一人は、機械での作業中に人差し指を切断する大怪我を負うという労災事故にも遭っていた。
そして、今年2月には、些細な「ミス」を理由に3人あわせて退職を強要され、離職を余儀なくされてしまったのだ。

 掃除や準備に対する不払いは労働基準法に犯罪行為に当たる恐れがある。同時に、労災事故や不当解雇に関しては、労働者側は損害賠償を求めることができると考えられる。

■職場復帰には「労働組合の脱退」が条件?
 技能実習生3人によれば、彼らは退職強要を受けた直後、技能実習生を支援する立場にある監理団体に相談したが、当該監理団体は転職の支援を拒否し、ベトナムに帰国するよう告げたという。

 さらに、監理団体は助けてくれないという事態に直面した3人は、管理団体を監督する機関である外国人技能実習機構に相談した。
外国人技能実習機構は、技能実習制度が技能実習法に基づいて設立され、法務大臣によって管轄されている公の機関である。
いわば、外国人技能実習生にとって「最後のよりどころ」の機関だといってもよい。3人は、来日の際に、困ったときは外国人技能実習機構に相談するように教っていたという。

 三人が同機関に労働基準法違反やパワーハラスメントと思われる労働問題について訴えたところ、外国人技能実習機構は
「会社が求めているのは(中略)今後はトラブルを起こさないと反省し、謝罪すること」、「お互いに問題があった」とあたかも、
職場における労働問題について実習生側にも非があるような内容を本人たちに伝えた。

 後に仙台けやきユニオンが事実確認を求めたところ、外国人技能実習機構は、実習生から相談を受けた後、技能実習先の違法行為などについて調査すらしていなかったということがわかっている。
それにもかかわらず、実習生らに謝罪を迫っていた。

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https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20220407-00290331

>>2に続く