作家・柳美里さんのオミクロン体験記より抜粋
※ワクチン2回接種済みでもコレ

> 29日に目覚めると、枕の上の首を動かせなかった。
> どんな痛みかというと、十数年前に音楽フェスに参加している最中に、
> 頭上後方からダイブしてきた男性に首を思いきり蹴られて頸髄損傷した
> 時の痛みと近かった。
> 寝違えたのかな、と思いました。
> 首を上下、左右に動かすことができず、寝返りが打てない、洗い物がで
> きない、文字が書けない、靴を履けない、髪を洗えない等々日常生活を
> 送ることに支障が出て、その日はほとんど仰向けの姿勢で寝ていました。
>
> 1月30日、関節・筋肉の痛みは首だけではなく、両肩、肩甲骨、背中へと
> 広がっていきました。
>
> 1月31日、二の腕や肘の内側や腰にまで痛みが広がり、フルマラソンの
> 30kmを超えたあたりで、体の節々が一斉に痛み出すような状態に似ていると思いました。
>
> 31日の夜は、首、肩、肩甲骨、背中、腕、腰――、とにかく全身の関節が痛くて、
> 仰向けにもなれないし、横向きになってもつらいという感じでした。
> 深夜、喉の痛みと咳が出てきました。
> 激しい咳で、あばら骨が痛くなりました。
> 喉のあたりの粘膜がオブラートで覆われているみたいにカサカサして引っ付いて、水を飲みたいの
> ですが、いざ飲んでみると、喉にしみて痛いのです。
> ごくごくは飲めないから、強いお酒を呑むようにちびちび飲みました。
>
> 2月1日の明け方、うつらうつらしていたら、激しい頭痛で目覚めました。
> こめかみのあたりがズキズキして、首筋がどくんどくんと脈打って、頭が破裂する、と思って上体を起こしました。
> 体温計で熱を測ったら、38.4度でした。
> わたしの平熱は35度台なので、かなりの高熱です。
> 咳は、とにかく痰が絡んで、痰の大きな塊で喉が詰まりそうになり、痰を吐きたいのに吐き出せない。
> 鼻水は、前日ほどは出なくなった代わりに、鼻詰まりで息ができない。
>
> この日は、苦しくて横になれず、椅子に座る力もなく、壁に寄りかかって、背中を一回一回突き
> 飛ばされるような激しい咳に耐えていました。
> 時折、心臓が針で突かれるような小さく鋭い痛みに襲われて、「痛ッ!」と思わず声に出して左胸を
> 押さえたりしているうちに不安になり、インターネットで注文して届いたばかりのパルスオキシメーターで
> 計測してみると、動脈血酸素飽和度(SpO2)の数値が94〜96%と低めでした。