女性は、沖縄・石垣島のリゾートホテルで住み込みで清掃の仕事をしていたが、2020年10月、コロナ禍により仕事を失った。

 都内の貧困支援を行う団体を頼って東京へ。生活保護を申請して受給し、アパートを探したが、なかなか見つからなかった。
団体が探してくれた物件の中から4件を見学。3件は断られ、残りの1件は当初は断られたが、家主らとの話し合いで入居できた。だが、同じアパートに暮らす家主の高齢夫婦は過去に家賃を滞納された経験があったため、家賃に対して厳しかったという。

 家主は女性が職を見つけられないことを気にして、たびたび部屋を訪ね「仕事決まったの?」「決まったら教えて」と言ってきた。
家賃未払いの不安を払拭(ふっしょく)してもらうため、生活保護の住宅扶助費を福祉事務所から代理納付してもらうことにしたが、その後も、ゴミ出しのたびに「そんなに求人が厳しいの?」などと聞いてくることが約5カ月間続いた。
聞かれることが苦しくなり、次第に自宅から出ないようになった。元々患っていたうつ病が悪化し、転居することにした。

「入居可能」は10件に1件

 新たなアパートを探すため、不動産仲介業者に行って物件を探してもらったが、生活保護受給者が入居可能な物件は10件に1件程度。
業者の担当者には「ほとんど断られてしまいますが、落ち込まないでくださいね」と言われた。担当者が目の前で電話したが、生活保護と伝えると、すぐにやり取りが終わってしまうケースも多かった。

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