倒産した中小企業に共通する経営者の特徴【前編】
苦労を語ろうとする
倒産に至るまでにいかに自分がだまされたか、それをいかに乗り越えようとしたか、だが、銀行や社員、取引先がいかにそれをぶち壊したか。
これらを語るのも大きな特徴だ。絶対に自分を責めることをしない。常に他者を責める「他責」だ。
日頃、さんざんと「自分に厳しくあれ!」と社員たちに発破をかけていたのは、やはり、パフォーマンスでしかなかったのだろうか。すくなくとも、その言い分と行動には大きな矛盾はある。
自身の苦労を語る以前に、迷惑をかけ、相手や周囲を苦しめたことを語るべきだが、そんな社長を見たことがない。
家族のことは語らない
実は、倒産した会社の社長はある程度のお金は持っている。社員たちよりは、現金や土地、株式などの資産は間違いなく多い。
家を抵当にして、借金をした銀行に返済ができないがために家を差し押さえられたとしても、依然として相当な資産を持っている場合がある。
倒産の前、つまり、経営難の時に弁護士や税理士に相談し、自らの資産をいかに守るかを話し合い、対策を練っているケースが圧倒的に多い。
例えば、法律上、妻とは離婚し、その妻に土地や株式を大量に持たせる。そして、倒産時に自分は自己破産をする。実際は破産後もそれまで通り、夫婦で生活していた社長もいる。
あの手この手で資産防衛をするケースは実に多い。取材時に家族のことは深く語らないのは、これらをおおやけにされては困るからだろう。
今なお、新聞やテレビ、雑誌、ネットニュースは中小企業の倒産を悲劇的に報じる。苦労を語る社長の言い分を鵜呑みにしている報道もある。
はるかに社員や取引先、銀行のほうが倒産の深刻な被害を受けたはずなのが、なぜか、その言い分をきちんと詳細には報じない。
本当の被害者とは、誰なのかとあらためて考えるべきではないだろうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b585b188d6909a167c51156999e685c339776e6d