『進撃の巨人』のアニメは世界中でブームとなっているが、スペイン紙「エル・パイス」が、アニメファンではなかったのにハマってしまったという同国の視聴者の声を紹介している。
「アニメは子供向け」という偏見を乗り越えて、同作品が成功した理由とは?

口コミやSNSで広まり

絶滅の危機に瀕した人間は、自分たちを食糧とする知能の低い巨人から身を守るため三重の大きな壁の後ろに避難している。
現在最も人気となっている日本のアニメ作品の一つ『アタケ・ア・ロス・ティタネス』(註:『進撃の巨人』のスペイン語版タイトル)は、こうした設定で始まる。

視聴者動向を分析する「パロット・アナリティクス」のデータによると、2021年に同作はテレビプラットフォームにおいて世界で最も視聴されたシリーズになった。
英語以外の言語では初の快挙で、『イカゲーム』や『ウィッチャー』を抜いて、『ウォーキング・デッド』や『ゲーム・オブ・スローンズ』に並ぶ人気コンテンツとなったという。

原作のマンガは2009年から2021年にかけて連載された。アニメ化では近年世界的なヒットとなった『デスノート』(2006年)の荒木哲郎が監督を務めた。
これら2作品が成功したのは視聴率だけではない。映画のポータルサイト「IMDb」では最も高い評価を得ており、30万件に迫る票を獲得し、平均点が9となっている。
実際に、『進撃の巨人』第39話は、IMDbでシリーズもののエピソードとして過去最高の9.9点、約8万7000票を獲得している。

パロット・アナリティクス社のデータによると、日本のアニメーションの需要は、世界の全コンテンツの中で4.2%から7.1%と、過去2年間で118%も伸びた。
日本のアニメは、全世界のプラットフォームで、警察ドラマ、コメディーに次いで3番目に人気のカテゴリーとなっている。

ゲレロはこれを当然の変化と捉えている。「14歳で『進撃の巨人』を見始めた人が24歳になり、アニメを見るのが当たり前になりました。
今はもう、こういう作品が大人気の時代なんです。今30歳の人たちは、アニメに囲まれて育ってきて、もう主流になっています。
数年前に評価されなかったものが、今は人気なんですから。
こんなことは記憶にありません。この分野では世界が変わりました」

セレクタ・ビシオン社のパトリシア・フェルナンデスは、アニメは子供向けというステレオタイプが今も存在するものの、少しずつ変わっていると説明する。

「以前はもっと偏見がありました。普通、アニメは子供のときに初めて見るもので、『ポケモン』や『ドラえもん』、『ハイジ』などは子供向け番組で放送され、すでに子供の視聴者と結びつけられているからです。
配信プラットフォームはアニメを備えており、こうした障壁を取り除くことに大きく貢献しています」

https://courrier.jp/news/archives/283535/