広島の駄菓子メーカー・すぐるが製造する『ビッグカツ』。1978年の発売当初は全然売れなかったというが、現在では全国区で定番商品となり、駄菓子店の閉店が相次ぐ近年も安定した売上を維持している。奇しくもSDGsの観点から注目されている“代替肉”の超先駆けとも言える同商品は、昨今の物価高騰の煽りを受けながらも、当初から価格は30円のまま。その背景には、創業時から変わらない子ども達への想いが隠されていた。
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■原材料は魚肉、ピンチが生んだ看板商品だった 創業者自ら全国行脚で大ヒットに 広島県呉市の駄菓子メーカー・すぐるは、1973年にスグル食品として創業。もともとイカを甘く味付けした『甘のしイカ』やイカを揚げた『イカ天』を製造していたが、現在の看板商品『ビッグカツ』は、ピンチが生んだ大ヒットだった。 「創業当初、貿易の自由化によりイカ原料の入手が困難となり、製造できるものが無くなったことがありました。同時期に、とある企業が『プッチン』と呼ばれるイカの代替品を開発しました。『プッチン』とは、スケトウダラをメインにした魚肉のすり身をシート状に成型したもので、これを細切りにカットしてさきイカの代替品として販売を開始。これに目をつけた創業者が、『プッチン』を使って『甘のしイカ』や『イカ天』を再現、今弊社の主力商品である『いかサーティ』や『いか味天』になりました」(スグル食品3代目・大塩和孝さん/以下同) 子どもたちがお腹いっぱいになるような商品を作りたいという発想から、「天ぷらができるならカツもできるのではないか?」と考え、トンカツに似た商品『おやつ串カツ』を開発。子どもでも買える価格で提供しようと、駄菓子店や酒販店向けに、40本入りのポットで1本10円で販売するスタイルと、量り売りスタイルで販売していた。 しかし高度経済成長期に入ると、コンビニや大手スーパーマーケットのような全国規模の大型チェーンが拡大。レジに対応する必要が出てきたため、大型化し、個包装に切り替えた『ビッグカツ』が誕生した。しかし、発売当初は全く売れなかったという。