「モテないけど生きてます」。そんなタイトルの本が青弓社から刊行された。

タイトルだけ読めば、おおげさに思うかもしれない。だが本書につづられる一人一人の悩みは切実で、ほろ苦く、痛みを伴う。
「一人前の男ではない」という劣等感や焦燥感、疎外の経験。それらが複雑に折り重なり、さらには女性への執着が引き起こす挫折によって自己否定を深め、ますます孤独にさいなまれる。


本書がユニークなのは、一つの結論を急ぐのではなく、個別バラバラの語りにある。例えば継続的に参加するメンバー8人による「個人研究」と2人の「共同研究」。
肥大化する妄想との付き合い方や「人を頑張ってバカにしてしまう病」の考察など、個々の体験が言語化され、クスリと笑えるものもある。

https://mainichi.jp/articles/20201105/k00/00m/040/166000c