事件の前々日の3月30日には、複数の従業員が“異変”を目撃していた。

「店長は目の焦点が定まっておらず、パートの人に『大丈夫ですか?』と肩を叩かれても反応が薄く、ボーッとしている状態でした」(前出・元従業員)

 これが従業員に見せた最後の姿となった。

 前出の現役従業員が無念さを滲ませて語る。

「Xの言動は傍から見ても明らかなパワハラ。今思えば店長の言葉はSOSだった。もっと親身に話を聞いてあげればよかった。
わざわざ店の駐車場に来て死にますか。あの優しい人が、そこまでの恨みを抱いていたなんて……」

 事件当日、年中無休の店舗は臨時休業することになった。店長を慕う従業員たちは悲報に衝撃を受け、せめて線香だけでもあげようと揃って現場を訪れた。

 しかし――。

「お花と線香を持って店に行くと、Xが外に出てきて『皆で何やってんすか?』と声をかけてきた。『店長が可哀そうだから手を合わせに来ました』と言うと、フンと鼻を鳴らして戻っていきました。
あまりに酷い態度でショックを受けた。その場で店を辞めることを決めました。同じ理由で退職した人は何人もいます」(前出・元従業員)

 中村さんの死の翌日、何事もなかったかのように営業は再開された。