振袖を着て無理やり笑顔… 女性から戸籍を変更した男性 悩んだ過去と居場所づくり(BSN新潟放送) - Yahoo!ニュース
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性的マイノリティ=「LGBT」の中で、生まれた時の戸籍の性別とは異なる性別を認識する「トランスジェンダー」について考えます。戸籍を変更する人もいれば、服装などで性別を表現する人など、様々なケースがあります。

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今回、取材したのは、女性から戸籍を変更した男性です。「受け入れてもらうことが生きることにつながる」。自ら思い悩んだ過去と、悩みを口にできる場所の必要性について話を聞きました。【新潟から、SDGs】

トレーニングセットは、どんな時に購入したんですか?
【まさきさん(20代)】「女性の体形、女性としての特徴的な部分が気になって、ジムの更衣室などを使うことに対しての躊躇(ちゅうちょ)があった」

3年前に戸籍を変え、女性から男性に。新潟市に住む、まさきさん(20代)は、生まれた時の戸籍の性別とは異なる性別を認識する、いわゆるトランスジェンダーです。振袖を身にまとった成人式。写真撮影で、無理やり笑顔をつくったのを記憶しています。

【まさきさん】「体が拒絶してたというか、振袖を着て女性らしく写真に写るっていうことに、本当に自分の意思とは違うところで、体がいやだっていう反応してたのかな」

LGBTまたは「そうかもしれない」と思う人を対象に、当事者同士が話をしたり過ごしたりできる「居場所」を提供する団体「にじーず新潟」。まさきさんは去年から、リーダーを務めています。自分の性について思い悩んだ経験を生かしたいと考えたからです。

この日は「居場所」提供の初開催に向け、メンバーと会議。議題の一つが「個別に相談などができるスペースを設けるか」でした。

【まさきさん】「1回目にそういうの(個別スペース)をやっているのは、誰も利用しなかったとしても、出しておくのはいいかなと思う」

話し合いに参加する姿勢は前向きそのものです。

自身の性について悩んできたことは、今振り返るとどう感じますか?
【まさきさん】「皆さん、周りの人も大なり小なりいろいろなことを抱えて生きてらっしゃると思うので、自分の場合は、それがたまたま性別に関することだったっていう…」

ただ、それは今だから言えること。まさきさんが話してくれたのは、幼い頃から抱え続けた悩みを打ち明けられなかった過去です。

男の子が好きになることが多いヒーローと一緒に撮影した、幼少期のまさきさんの写真。うれしかった反面、友達には絶対に見られたくありませんでした。

【まさきさん】「男の子が好きになるものを、女の子が好きになってるっていうことを周りに知られることによって『すごくあいつは変な奴だ』って思われるんじゃないかっていう意識がすごく強くあった」

さらに、思春期を迎えて起こる女性としての体の変化に対する驚きと嫌悪。就職活動では…。

【まさきさん】「例えば毎日、化粧をして仕事に行かなきゃいけないのかなとか、周りが就活とかでいろいろ会社のどこに行こうとか、そういうことで悩んでる中で、自分は生き方に悩んでいたような感覚でした」

どんなに悩んでも、他人に『性自認』=『自分の性についてどのように認識しているか』を告白することができませでした。極度の緊張の中、初めて告げた相手は両親でした。

【まさきさん】「いざ言ったときのことは、正直もう記憶が飛んでて、覚えていなくて。父親が『男でも女でも、お父さんお母さんの2人の子どもには変わりはない』というような一言を言ってくれて、その言葉だけを覚えている。『この先、自分はもう生きていけるな』っていうことをすごく思いました」

『性自認』を両親に受け入れてもらえた…。まさきさんにとって、その記憶が生きる支えとなっています。