翼竜から色つきの「羽毛」発見 鳥のような多様な色彩あった?

頭の一部に色がついた「羽毛」を生やしていた翼竜の化石が見つかった。
絶滅した翼竜も現在の鳥のようにさまざまな色彩の羽毛を持ち、求愛行動など視覚的なコミュニケーションに役立てていた可能性がある。
ベルギー王立自然科学研究所などの研究チームが、科学誌ネイチャーに21日付で発表した。

研究チームは、約1億1500万年前の白亜紀に生息していた翼竜トゥパンダクティルス・インペラトルの化石を調べた。この翼竜は頭に巨大な「とさか」を持っていた。
化石は保存状態がよく、後頭部のとさか下側にうぶ毛のような短い毛と、ふわふわと枝分かれした毛があった。

毛や皮膚の表面を電子顕微鏡で調べると「メラノソーム」が見つかった。メラニン色素を含む粒のような細胞小器官で、時間がたって色が失われてもメラノソームがあれば形状や密度から当時の色を推定できるといい、
暗い色とやや明るい色の2種類の羽毛が生えていたと推定された。

翼竜には「ピクノファイバー」と呼ばれる毛がある化石が知られているが、それが「羽毛恐竜」や鳥類でしか発見されていない本当の羽毛なのかは議論があった。今回の化石では鳥に似た羽毛が確認された。

翼竜は恐竜とともに繁栄した後、白亜紀末に地球に衝突した小惑星の影響で滅んだ。ただ、恐竜(非鳥類型獣脚類)の「生き残り」とも言われる鳥は求愛に使う婚姻色や敵から身を隠す保護色を羽毛として身にまとっている。
翼竜も、こうした色彩を持っていたかもしれない。

国立科学博物館の真鍋真副館長(古脊椎(せきつい)動物学)は「羽毛で色や模様を多様化することができた翼竜の種が、仲間や雌雄差を識別することなどが容易になり、繁栄したらしいという仮説には説得力がありそうだ」と指摘している。

ウェブサイトに論文(https://www.nature.com/articles/s41586-022-04622-3別ウインドウで開きます)が掲載された。(小堀龍之)

翼竜トゥパンダクティルスの羽毛の復元図。とさかの下部にある羽毛の種類を示している=(C)Julio Lacerda
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20220420000673_comm.jpg

翼竜トゥパンダクティルス・インペラトルの復元図。とさかの下側に羽毛が生えていた=(C)Bob Nicholls
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20220420000672_comm.jpg

翼竜の羽毛が色を持っていたことを示す、化石から見つかった「メラノソーム」の電子顕微鏡写真=Cincotta et al. Nature 2022
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20220420000738_comm.jpg

https://www.asahi.com/articles/ASQ4N336BQ4MULBH003.html