FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
こちらが韓国で社会現象となっているポケモンパンです。韓国の製パン会社が製造していて、袋には日本アニメ・ポケモンのキャラクターが描かれています。値段は日本円で約150円。2月の発売から50日で1200万個、毎秒2個から3個が売れている計算です

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
コンビニエンスストアには軒並み入り口に、品切れとの張り紙が掲示されていて、中には夜遅くに配送車が到着するのを待ち伏せする人もいるんです。ソウル市内のスーパーマーケットを取材すると平日にもかかわらず、朝7時から列ができ始め、50人以上が整理券を求めて並びました。最近は毎日こういった状況だそうで、週末は100人以上が並ぶこともあるそうです。皆さんのお目当ては“おまけ”として入っているシールです。購入した方に話を伺いました

ポケモンパンを購入した人(20代):
同じシールが出ましたね

Q.すでに持っている?
ポケモンパンを購入した人(20代):
はい。まだ全部は集められてなくて、いま130種くらい集めました

Q.パンは?
ポケモンパンを購入した人(20代):
150個くらい買いました

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
ブームは芸能界にも広がっていて、人気グループBTSのメンバー・RMさんも「コンビニ8軒ハシゴ お願いだからもっと売ってください」とコメントしています。また、中古品取引サイトでは、シールの相場表なるものまで登場しています。1枚1枚値段が付いていて、中には1枚5000円の値が付いたものもあります。ホテルでは宿泊とポケモンパンの抱き合わせプランが登場し、さらに、パンをプレゼントすることで新型コロナによって減少した献血の協力者を増やそう。そんな動きも出ているのです

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
ただ、一方で困った問題もありまして、シールを抜き取った賞味期限切れのパンがインターネット上で売られています。お店では、客が在庫を隠していると激高して店員を暴行する騒動も起きました。さらに、コンビニ店員が「ポケモンパンをあげる」と小学生の女の子を誘い出して、店内の倉庫でわいせつな行為に及ぶ。そんな事件も起きています

加藤綾子キャスター:
事件まで起きるほどの熱狂ぶりというのは驚いてしまいますけど、なぜそれほど人気なんですか

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
韓国メディアはその要因について“キダルト族”という言葉で表しているんですね。キダルトはキッズとアダルトを組み合わせた造語でして、子どもの頃に熱中したアニメや漫画のキャラクター製品やプラモデルなどを“大人買い”する人を指すんだそうです

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
その多くは1980年代から90年代にさまざまなアニメやゲーム、おもちゃに囲まれて幼少期を過ごした世代です。ポケモンパンも90年代後半から販売された商品の復刻版なんですね。幼い頃、シール集めに興じた時のことを思い出した、キダルト族の消費意欲に火をつけたのです

ポケモンパンを購入した夫婦 妻:
昔の思い出があって(購入した)

ポケモンパンを購入した夫婦 夫:
昔はたくさん集められなかったから今になって集めている

ポケモンパンを購入した夫婦 妻:
ピカチュウが大好きでゼニガメも欲しいです

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
韓国では近年、このキダルトを狙った市場が急拡大してるんですね。2014年には日本円で約520億円だった市場が、2020年には約1660億円にまで伸びています。3倍伸びているわけです。最近では、ポケモンパンのほかにも、動画配信サイトでセーラームーンやドラゴンボールといった、今の大人たちが幼かったころに熱狂した日本アニメですね。その再配信が続々行われていたり、アニメキャラクターが化粧品のパッケージになったりと、各業界がキダルト市場に期待を寄せていることが伺えます

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
こうした状況について、専門家は就職難や不動産価格の高騰など「厳しい状況に置かれた若者が家や車といった派手な消費は難しいながらも、幼少期に熱中したものを買い集めることに楽しみを見出しているのでは」と指摘しています

https://news.yahoo.co.jp/articles/b24644e50f425fc00d141bb3eabe545624d22b2c