インターネット上で働き手を募る求人広告について、「無料」と勧誘を受けて掲載したものの、しばらくして高額の料金を請求されるトラブルが相次いでいる。新型コロナウイルスの感染拡大で人手不足が深刻な中小事業者らが狙われる例も目立つ。一定期間後に「有料掲載へ移行」と申込書に小さく記されていることが多く、弁護士会や業界団体は「記載内容をよく確認してほしい」と注意を呼びかけている。

「話が違う」

 「お金はかからないので、求人を出しませんか」。福岡市内の教育サービス会社に2月、東京の広告業者から突然、電話があった。社長の男性(73)は「本当に無料なのですね」と念押しした上で、ファクスで届いた申込書にサインした。

 掲載されてから3週間後、業者から「掲載更新料」として30万円の請求書が送られてきた。「話が違う」と抗議したところ、「申込書に書いてある」と言われた。改めて見ると、「無料掲載期間後は有料掲載スタンダードタイプへ自動移行」と小さな字で書かれていた。

 弁護士の助言で請求に応じていないが、「対応の煩わしさから代金を払った知り合いもいる。やり方が許せない」と憤る。

 同じ被害を受けた福岡市内の訪問看護事業者は、業者から「払わない場合、刑事告訴も辞さない」と通知された。弁護士に対応してもらい、ようやく請求はなくなった。「コロナ禍で在宅医療の需要が増し、人手不足を何とかしたいとの思いだったのだが……」と反省を口にする。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220423-OYT1T50180/