https://news.livedoor.com/topics/detail/22059762/


 安倍晋三・元首相の肝いり政策として、全世帯に配布されたアベノマスク。配布計画が発表された2020年4月、「謎の受注業者」として注目されたのが、福島県の木質ペレット輸入会社「ユースビオ」だった。

【写真4枚】アベノマスクを350万枚受注したユーズビオのかつて本店所在地となっていたプレハブ長屋。モルタル風の白い壁

 約32億円という大型受注を引き受けた同社だが、社員は5人で、登記上の本店の所在地はプレハブ長屋の一室だったことが発覚。なぜ同社がアベノマスクを受注できたのか、疑問の声が噴出した。

『週刊ポスト』が2020年7月に訪れると、プレハブ社屋はもぬけの殻で、本店所在地は福島県内にある同社社長・樋山茂氏の自宅に移っていた。

「変わらずベトナムを中心に輸出入の仕事を続けています」

 当時、樋山社長は『週刊ポスト』の取材にそう答えたが、受注経緯の詳細は明かさなかった。

 あれから1年半あまり。ユースビオを巡って動きがあった。

 神戸学院大の上脇博之教授が国にアベノマスクの受注経緯に関する情報開示を求めた訴訟で、今年1月、大阪地裁がユースビオを含む受注企業に対し、国側とのメールの任意提出を求めたのだ。

 4月下旬、樋山社長に自宅前で話を聞いた。

「ウチは最初から何も隠すことはないので、情報開示の訴訟に関しても、裁判所の要求に応じて、資料を全部提出しました。国側とのやり取りは、電話の録音は残っていませんが、メールなどの形で残っているものは全て出してます。ウチは公明党との付き合いがあるので、当時は政治的背景とか変な疑惑が報じられたけど、やましいことはまったくありません」(樋山社長)

 そう明かした上で、受注の経緯についてもこう語るのだった。

「改めて説明すると、ウチは元々ベトナムやインドネシアで木質ペレットや石炭の輸出入事業をやっていて、コロナ禍でマスクが不足した時にベトナムから布マスクが大量にあるという連絡を受けた。それで現地から布マスクを輸入して、福島県、山形県と取引をしようとしたんです。その途中で、自治体ごとのマスク調達ではなく、国が一括でやるという話になり、山形県から経産省の担当者を紹介された。受注業者4社の中でウチが一番単価が安かったし、納期も守った。なぜ非難されたのか分かりません」(同前)

 現在もペレットの輸出入業を続けており、事業は順調だという。そして自身も法的措置を考えているとして、樋山社長はこんな計画を明かした。

「いずれコロナが落ち着いたら、私を誹謗中傷したメディアやネット民に損害賠償請求をすることを考えています。度重なる中傷で、ウチも損害を被りましたからね」