プロポーズを予定していた若いカップルは北海道・知床の絶景を眺めに向かった海で行方が分からなくなった。
観光船「KAZU 1(カズワン)」の遭難事故は25日で発生から3日目。
状況が厳しさを増し、家族は「せめて2人一緒に見つかってほしい」と悲痛な思いを募らせている。

 カップルの1人は北海道北見市の鈴木智也さん。観光船が出発した斜里町・ウトロの港では25日早朝、
父親の剛さんら家族が一日も早い息子の帰還を願って涙を浮かべた。

 智也さんは交際中の彼女の誕生日に当たり、サプライズで知床旅行に連れだし、船上でプロポーズする予定だった。
一緒に住んでおり、旅行には指輪も持ってきていた。
事故当日、剛さんは「誕生日おめでとう」と連絡し、船に乗る前の彼女が喜んでいる様子を写した10秒程度の動画が返信されてきた。

 事故はニュースで知った。すぐに智也さんにメールを送り、電話をかけたが全くつながらず、その日のうちに知床へ。
手掛かりさえつかめないまま時間だけが過ぎ、剛さんは既に最悪の結果を覚悟しているという。
10人が見つかった24日には遺体安置所に足を運んだが、智也さんと彼女の姿はなかった。
剛さんにとって「2人で見つかって初めて一つ」。
見つかれば「冷たい水にいたから、あったかい布団を早くかけて休ませてあげたい」と気遣う一方、
「若い人の命がなぜ失われるのか、本当に許せない」と憤りを募らせた。

https://kahoku.news/articles/knp2022042501000790.html