「失われた30年」の正体は、今もなお日本社会に根強く残る「ムラ社会」的な意識
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――確かに日本社会は「変化」を嫌うところがありますね。

加谷 しかも、日本は過去の成功の上に慢心して謙虚さを失っているので、今も「技術大国」だと信じている人が少なくない。しかし、現実には半導体や液晶パネルなど、かつて日本の強みだった製造業も衰退して、気がつけば主要な先進国の中で、最もIT化が遅れた「IT後進国」になってしまった。

そうやって消費経済への転換に必要な変化を嫌い、新しい挑戦を支える「自由でおおらかな雰囲気」を抑圧し続けた結果、日本は90年代以降のパラダイムシフトに乗り遅れ、成長のチャンスを逃してしまった。私はこれが「失われた30年」の正体なのだと思います。

――日本はなぜ「失われた10年」ぐらいで、その問題に気づけなかったのでしょう?

加谷 80年代に誰も気づいていなかったのかというと、まったくそんなことはなくて、むしろ日本全体の総意として「変わらなきゃいけない」っていう意見のほうが多かったと思います。

86年に中曽根康弘内閣の諮問機関が内需拡大や市場開放などの必要性を訴えた「前川レポート」が有名ですが、当時の日本政府も「ビジネスモデルを大胆に転換しなきゃいけない」と、明確に表明していたんです。

ところが、いざ内需拡大型に転換しようとなれば、産業構造や労働力のパラダイムシフトが起きるわけで、そこで「俺は損するんじゃないか」「俺はこれはやりたくない」などと変化を嫌う感覚が邪魔をして、結局、何も変えられずに30年が過ぎてしまったのだと思います。


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