大型連休も賑わい戻らず、観光客が献花も 北海道・知床

14人が亡くなり、12人が行方不明となっている北海道・知床半島沖の観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」の沈没事故で、地元・斜里(しゃり)町は町ぐるみで対応に当たっている。
半島クルーズを行う同業者も大型連休中の運航を取りやめ、連日のように捜索に協力。本来なら新型コロナウイルス禍の自粛ムードの緩和が進み、大型連休にはにぎわいが戻るはずだったが、訪問を見合わせる観光客も少なくない。

観光客も献花

「知床が好きなので、こんなに悲しいことが起こってしまい胸が痛い」

埼玉県深谷市の男性会社員(54)は、遺体安置所となっている斜里町内の体育館で花を手向け、そう話した。大型連休に入ってからは町民だけではなく、観光客も献花に訪れ、中には連休中に観光船を予約していた人もいた。

兵庫県の50代の夫婦は1日、事故のあったカズ・ワンの運航会社「知床遊覧船」とは別の会社の観光船に乗船予定だった。だが、事故を受け、会社側から運航を自粛するとの連絡があったといい、「(事故に)非常にショックを受けている。行方不明の方が早く見つかってほしい」と話した。

相次ぐキャンセル

「知床に旅行に行ってもいいのでしょうか?」

知床の観光ツアーを企画する「知床ツーリスト」には事故後、予約客からこうした問い合わせが寄せられ、知床五湖をめぐるガイドツアーではキャンセルも出た。代表の石田富雄さん(55)は「今後の観光シーズンがどうなるか危惧している」としつつ、「まずは行方が分かっていない乗客を見つけ、観光船の会社は安全管理体制をしっかり見直してほしい」と強調した。

蔓延(まんえん)防止等重点措置が各地で解除されて以降、初めての大型連休だったが、同町の宿泊施設にも予約を取り消す連絡が相次いでおり、宿泊施設経営の男性は「毎年来てくれる人も今年は見送るようだ。知床はリピーターも多いので、先が不安」と肩を落とした。

https://www.sankei.com/article/20220501-2ZK366HKLVMZRAUU4WQ2C445FM/