ゼミ生 「2025年問題」という言葉を聞きました。3年後に何が起きるのか教えてください。
教授 「団塊の世代」という言葉は知っていますか。戦後間もない1947~49年生まれの人のことで、この3年間は毎年約270万人が生まれました。昨年1年間の出生数は約84万人だったのと比べると、約3倍の規模で子どもが生まれた計算になります。その人たちが全員75歳以上になるのが2025年です。「高齢者の高齢化」が進む節目の年と言えますね。
ゼミ生 高齢化はどのくらい進んでいるのですか。
教授 日本の人口に占める75歳以上の人の割合は1990年は4.8%だったけど、2025年には17.8%に増える見通しです。高齢人口がピークに達する40年には、5人に1人が75歳以上になりそうです。
ゼミ生 長生きするお年寄りが増えるのはいいことですが、どうして「問題」なのですか。
教授 年を取れば、病気やケガをしやすくなります。日常生活では介護が必要になることもあります。19年度の1人あたりの国民医療費は、65歳未満が19万円でしたが、これに対して、75歳以上は93万円です。つまり75歳以上の人が増えると、医療や介護の費用が膨らみ、国の財政がさらに厳しくなることが問題視されているわけです。
年金などを含めた25年度の社会保障給付費は約140兆円と、10年前と比べて2割増える見込みです。増え続ける社会保障費は税収だけでは賄えないので、足りない分は借金をして将来世代に負担を先送りしています。
ゼミ生 働いて税金や保険料を納める人は減っているのですよね。
教授 国は対策として今年10月から、一定の収入がある75歳以上の人が払う医療費の窓口負担を引き上げることを決めました。将来世代に負担を先送りしないために、高齢者の一部に負担範囲を広げているわけです。
ゼミ生 僕も年を取ったらお金の面で苦労しそうだな。
教授 お金だけではなく、介護人材の不足も深刻です。厚生労働省の試算では、25年度に介護の担い手は約32万人不足する見込みです。待遇や労働環境の改善などの対策が急がれます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/72e7824e1cfa4a103894fffee38d111cd6fcedba