吉野家、「から揚げ戦略」で革新遂げるか。好決算・親子丼・経営計画は役員の不適切発言で台無し

吉野家ホールディングス<9861>子会社の吉野家は役員の社外活動での不適切発言が大きな注目を集めることになりました。

3. アフターコロナを見据えた中期計画、吉野家は“牛丼とから揚げの店”を目指す

吉野家は決算の発表とともに中期経営計画も発表しました。

今後の3年間で設備投資300億円とM&A100億円の総額400億円の成長投資を行い、最終年度の2025年2月期に売上高1,800億円、営業利益70億円を目指す計画です。

中期経営計画の中で吉野家の店舗は、既に一部店舗で提供がスタートしているから揚げを第2の柱として育成することを目指しており、吉野家を「牛丼とからあげの店」とする計画をかかげています(なお、吉野家とは別の複数ブランドでラーメンを第3の柱とする計画)。

またから揚げの主力商品化に加えて、同じ鶏肉メニューとして10年ぶりの復活となる「親子丼」を2022年4月19日に発売開始しました。

本来なら親子丼のデビューは積極的なPRも行われる予定でしたが、常務の不祥事により静かなスタートを余儀なくされています。

4. 吉野家の株価は静かな上昇が続く

中期経営計画の出ばなを役員の不適切発言でくじかれる形となった吉野家ですが、株価は静かな上昇を続けています。

2021年の吉野家の株価は年間を通じて着実な上昇が続きました。

2021年始め2,000円を割れていた株価は、2022年に入り2,300~2,400円台を前後する状態が継続中です。

吉野家の株価は役員の不適切発言が報じられた後の2022年4月18~19日は続落しました。

しかし2,300円台のレンジは維持しており、不適切発言の株価に対する影響は限定的です。

中期計画の実行により株価上昇を今後も継続できるのか、という点が注目されます。

5. 吉野家は「牛丼とから揚げの店」に脱皮して再成長を実現できるのか?

吉野家は中期経営計画の柱として吉野家の店舗を「牛丼とからあげの店」とする計画を押し出しています。

しかし中期経営計画の最初の一手でもあった親子丼の投入は、役員の失言で出ばなをくじかれてしまいました。

吉野家はコロナ禍の中で赤字計上はあったものの、これまでのテイクアウトの取り組みなどにより、外食チェーン店の中ではアフターコロナに向けて早期に体制の立て直しができた1社といえます。

その反転攻勢の狼煙としての中期経営計画だった訳ですが、役員の失言という変な部分にスポットライトが当ってしまいました。

幸先よいスタートとはならなかった吉野家の中期経営計画ですが、吉野家の店舗を「牛丼とからあげの店」とする計画が成功し再成長は実現できるのでしょうか。

今後の吉野家の業績及び株価の行方が注目されます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f992ce757028003d2769cbc9edc69f1a28ba8ca6?page=2