大手タイヤメーカーのブリヂストン(BS、東京)が福岡国税局の税務調査を受け、2020年12月期までの3年間で計約3億円の申告漏れを指摘されていたことが関係者への取材で分かった。法人税などの追徴税額(更正処分)は過少申告加算税を含め約1億円。このうち一部には、外国子会社を通じた租税回避を防ぐ「タックスヘイブン(租税回避地)対策税制」を適用。南アフリカの関連会社の収益相当分をBS本社の所得と認定し、課税した。

 BSは、工場もある創業の地・福岡県久留米市が納税地で、税務調査は福岡国税局が担当。西日本新聞の取材に対しBSは「(21年に一般的な税務調査は受けたが)特に大きな問題等はなかったと認識している」と電子メールで回答した。

 関係者によると、BSの南ア子会社は、別の国に事業実態のないペーパー企業の孫会社を設立。子会社から孫会社に、無利子の貸付金として資金を移していた。日本の税法上、利子のない貸付金は、利子相当分を収益とみなし課税する場合がある。南アにはそうした規定がなく、課税されないという。

 国税庁は、課税を免れるため軽税率の国に子会社を設ける企業への対策として、事業実態や経済合理性のない外国子会社の利益を本社の所得に合算するタックスヘイブン対策税制を設けている。全国での対策税制の適用は、19年度(19年7月〜20年6月)が65件、20年度(20年7月〜21年6月)が37件。福岡国税局によると、管内での適用例は少なく「個別の企業が特定される恐れがある」として件数は公表していない。(内田完爾)https://news.yahoo.co.jp/articles/b2e4e81ce527e6ff926050b0429f3329dce768ff