【ニューヨーク=寺口亮一】国連のミチェル・バチェレ人権高等弁務官は5日、ロシア軍によるウクライナの自治体幹部やジャーナリストらに対する人権侵害が、少なくとも180件確認されたと明らかにした。恣意(しい)的な拘束や拉致などが目立ち、うち5件で被害者は死亡して見つかった。

 オンライン参加した国連安全保障理事会の会合で報告された。首都キーウ(キエフ)周辺では民間人の男性が「怪しい」という理由だけで拘束や拷問をされ、公正な裁判を受けることなく処刑されたという。ロシアやベラルーシへ連行されたケースもあった。露軍の兵士が性的暴行に関与したとの情報もあるという。

バチェレ氏は「調査対象の人権侵害の多くは戦争犯罪に該当する可能性がある」と指摘した。今月15日までの調査結果をまとめ、6月の国連人権理事会に報告する。国際刑事裁判所(ICC)とも協力する方針だ。ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、安全保障理事会で「一方的な評価」と反論し、露軍の関与を否定した。

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