「うなぎパイ」「赤福餅」ご当地銘菓も値上げラッシュ、老舗「企業努力では耐えられず」

 小麦粉などの価格が世界的に高騰するなか、全国の「ご当地銘菓」にも値上げの波が押し寄せている。コロナ禍で観光旅行による土産物の需要が激減したうえ、混迷するウクライナ情勢次第では更なる値上げラッシュが懸念される。製造販売する老舗からは「企業努力では耐えられない」と悲鳴が上がる。
 コロナ禍による行動制限がなくなった大型連休中、浜松市郊外にある春華堂(浜松市)の直営店「スイーツバンク SHOP春華堂」は、銘菓「うなぎパイ」を買い求める観光客でごった返した。
 うなぎパイは4月、定番の12本入りが962円(税込み)から1058円(同)に7年ぶりに値上げされた。鈴木涼太店長(24)は「値上げに驚く方もいた」と話すが、多くの観光客が訪れたことで影響は最小限に抑えられたという。
 春華堂の担当者は「小麦粉の価格が上昇し、原油高で包装フィルムや箱も値上がりした」として、コスト削減などの価格維持策が「限界だった」と説明する。

 群馬県の伊香保温泉名物「湯の花まんじゅう」の「寿屋」(群馬県渋川市)も、4月に1割近くの値上げに踏み切った。渋川伊香保温泉観光協会によると、2021年の宿泊者数は過去最少の約54万人で、コロナ前から半減。土産物の売り上げが低迷したところに、原材料の高騰が追い打ちをかけた。寿屋の担当者は「この連休中の人出に期待したい」と話す。

 老舗「赤福」(三重県伊勢市)の「赤福餅」や、「明月堂」(福岡市)の「博多通りもん」なども値上げを余儀なくされた。
 ただ、消費者の負担感を減らす工夫もある。「ありあけのハーバー」で知られる「ありあけ」(横浜市)は4月、主力商品「横浜ハーバー ダブルマロン」の5個入りを81円引き上げ、972円(税込み)とした。同時に数量限定として、5個入りの価格で6個を販売したところ、売れ行きが好調という。「この機においしさを再認識してもらいたい」と、売り場で製法の紹介に力を入れるなど、PRの契機と捉える。

 踏みとどまるのは、「もみじ饅頭(まんじゅう)」の老舗「にしき堂」(広島市)だ。当面、1個100円(税込み)の価格を据え置く。背景には、既に3年前に1個あたり5円値上げした事情がある。とはいえ、環境が厳しいのは同じだ。担当者は「何とか持ちこたえているが、国際情勢など不安定な状況が続けば、値上げを検討せざるを得ない」と苦しい胸の内を語った。

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