「模範的な優等生国家」は幻想、ドイツで格差が拡大したのはなぜか
ヘルムート・アンハイア(独ヘルティ・スクール・オブ・ガバナンス教授)

2005年以降のドイツ経済の回復と失業率の改善はハーツ4のおかげだとされるが、ブターベッゲによれば、
その恩恵は国内の平等を犠牲にして得られたものだ。
ハーツ4は、企業が人件費を圧縮して輸出を拡大できるように、
幅広い低賃金業種を生み出したのであり、「社会的市場経済」の社会的な部分を縮小し、
格差を広げ、ドイツ経済をアメリカ化した。
ハーツ4は社会保障を縮小することにより、
求職者に低賃金と劣悪な労働条件を受け入れることを余儀なくさせた。

それは長期的な失業者に多大なプレッシャーを与えただけでなく、実質的な所得減を(特に低所得世帯に)もたらした。


その意味で、この改革はドイツ社会に階級を生み出す役割を果たした。
ドイツの産業は人件費を減らして競争力を高めることができたが、国内には地位が不安定で不当に安い賃金に甘んじなければならない労働者層が生まれた。

その結果、ドイツは経済的な格差と社会的な格差によって分断されるようになったと、ブターベッゲは結論付ける。
故に『引き裂かれた共和国』というわけだ。

ブターベッゲによれば、ドイツはもはや冷戦時代のように、イデオロギーによって東西に分断されてはいないかもしれないが、
格差によって引き裂かれつつある。
格差の問題は、ダニエル・ゴファルトの著書『中間層の終焉』の大きなテーマでもある。だが題名が示すように、
本書が主眼を置くのはドイツの「サクセスストーリー」の骨格だった中間層の崩壊だ。

詳細はソースで
https://www.newsweekjapan.jp/amp/stories/world/2020/11/post-94976.php
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