京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)のチンパンジー用飼育施設をめぐる研究費の不正支出問題を受け、京大が来年3月に霊長研を解散する方向で調整していることが14日、複数の大学関係者への取材で分かった。今月中にも正式決定し、詳細を明らかにする予定。昭和42年の設立以来、50年以上にわたって霊長類研究を牽引(けんいん)した「京都大学霊長類研究所」の名称が今年度で消える見通しとなった。

問題をめぐっては、京大は昨年6月、飼育施設の設備工事で架空取引や入札妨害があり、約5億円が不正支出されたと認定する調査結果を公表。同年11月には、会計検査院が京大の認定分を含め、総額約11億3千万円の不適切な支出があったと指摘していた。

京大は同年9月、不正支出が認定された研究費の一部を支給した日本学術振興会に対し、罰金にあたる加算金を含めた約9億円を返還。他の補助金や交付金についても文部科学省が返還請求額を精査し、総額はさらに膨らむと予想される。京大は霊長研を解散して人員削減などを進めることで、返還費を捻出する狙いがあるとみられる。

〈独自〉研究費不正問題の京大霊長類研が解散へ
https://www.sankei.com/article/20211014-KLAZL2N64ZKB3CBT4DKDM7L64A/