「父がわいせつ」差し戻し 「娘の供述審理足りぬ」名古屋高裁 2021年3月
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中学生の娘が寝ている間にわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつ罪に問われた父親に対する控訴審判決が二十五日、名古屋高裁であり、
鹿野伸二裁判長は「被害者の供述の信用性を判断するための審理が尽くされていない」として、父親を懲役三年六月の実刑とした一審の津地裁四日市支部判決を破棄し、審理を差し戻した。
 父親は二〇一九年八月十二日夜、三重県内の自宅で寝ていた当時十四歳の娘の陰部に触ったとして起訴された。
父親は一貫して否認し、無罪を主張。裁判では、被害を訴えた娘の供述の信用性が争われた。
 一審判決は「ある程度具体的で診察と矛盾せず、高い信用性がある」と有罪の根拠としたが、鹿野裁判長は捜査時からの変遷に着目。
法廷で「痛い」と述べた被害時の感覚を捜査段階では「覚えていない」と供述しており、
父親に性交されたという法廷証言も警察官には語っていなかったことなどから、「具体的で明確といえない」と指摘した。
 その上で、被害があったとされる日の数日後に行われた娘と警察官、検察官、児童相談所職員との司法面接記録を一審が証拠としなかったことを
「初期の供述で証拠価値が高く、録音録画記録を調べるべきだった」と批判…