https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00247/050600033/
新型コロナウイルス禍により東京からの人口流出が少しずつ増加し、東京一極集中が解消されるかもしれない、という期待を持つ人は多いようだ。東京からの人口流出が増加している要因として、テレワークの浸透や東京の住みにくさに気づいた人が郊外や地方に移住していることを挙げる言説もある。しかし年度単位で見れば東京の人口が減った事実はない。それどころか、足元では一極集中が再び強まっている。

 4月26日に、2022年3月の住民基本台帳人口移動報告が発表された。東京都の転入超過数は3万3171人で、前年同月比119%、新型コロナウイルス禍が本格化する直前の2020年3月と比べても82.5%の水準まで回復している。

 コロナ禍になってからのこの1〜2年、東京の人口が減少したというニュースに接する機会が多かった。最近でも、東京の暮らしにくさを強調し、東京から地方に脱出する流れが加速するだろう、という記事を見かける。

 しかし、2022年1月から東京都の人口は転入超過、すなわちプラスに転じている。この回復傾向は今後も継続していく可能性が高い。東京一極集中が再び強まっていると筆者はみている。背景にあるのは、新型コロナに対する人々の意識の変化だ。