「値上げはこれからが本番」輸入品より国産品、パンより米で家計を守る

 値上げラッシュは加速するばかり。今後もますますその傾向に拍車がかかり、一世帯あたり年間で5万~8万円の支出増になるともいわれている。こんな家計の緊急事態にどう対応すればいいのか。「実はこれからが本番」と、経済ジャーナリストの荻原博子さんは語る。

「これまでの値上げにウクライナ侵攻と円安の影響はほとんど含まれていません。今後、その影響がさらに広範囲に及び、深刻化することが考えられます」(荻原さん・以下同)

 食品から電気代、高速料金まで、すでに多くが値上がりしている印象だが、最も顕著なのが世界的な穀物価格の上昇だ。とりわけ小麦はここ数年、上がり続けている。日本の小麦の食料自給率(カロリーベースによる試算)は15%しかなく、ほとんどが輸入。この1年半のうちに5割近くも値上がりした。

「主な原因は北米の高温・乾燥による不作や、オーストラリア産の品質があまりよくなかったこと、コロナ禍でコンテナでの輸送が停滞し、輸送費も上がったことです。昨年は、ロシアやウクライナは結構豊作だったので、世界的には価格を抑えることができていましたが、両者の戦争でこれからは期待できません。次回10月期の政府売渡価格の値上げも必至で、来年の正月明けには小麦粉製品の価格がいまの2倍近くになっているかもしれません」

 外食チェーンの『松屋』や『餃子の王将』は、原材料価格の高騰に円安などの影響も加わり、5月からの値上げに踏み切った。原材料に加えて容器や物流費が原因でペットボトル飲料までもが値上げされるなど、影響が波及しているのだ。

「推し活」の必需品・うちわも値上がりする。原油高によるプラスチック原材料の高騰が主な理由だ。何をするにも以前よりお金がかかるようになったいま、家計を破綻させずに乗り切るために、何ができるのだろう。

 パンは1月に値上がりしたが、7月からさらに平均で8%も値上げされる。一方、米の価格は安定、むしろ値下がりしている。

「昨年が豊作だったことに加え、消費者の米離れ、おまけに新型コロナの影響で外食産業が不振で在庫が余っている状態です。主食は米を食べた方がいい」と、荻原さんは力説する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/379d9d1105e3410facda707ab5781371ea791d28