「全身を金属の棒で殴られ、口の中に銃口を入れられた」

ミコラさんは兄弟と一緒に意識を失うまで拷問された。目隠しをされ、手足をテープで縛られ、5人のロシア兵に連れられて軍用車で荒涼とした土地に運ばれた。目隠しされたままひざまずかされ、その間に穴が掘られた、とミコラさんは話した。

まず、背後で銃声がした。長男のドミトロさん(36)が地面に倒れ込んだ。次に、最年少のイエベンさんが横に倒れるのを感じた。

「次は自分だと考えていた」とミコラさんは話した。しかし、弾丸はミコラさんの頬から入って右耳横から出た。助かるためには死んだふりをするしかなかった。

ミコラさんによると、兵士らは兄弟を穴に蹴り入れ、土で覆って立ち去った。どのくらいの間、埋もれていたかはわからない。しかしミコラさんは手足を縛られたまま、どうにかして死んだ兄の体の下から地上へとはい出した。

「ディマ(ドミトロ)が私の上に横たわっていたので、息苦しかった。しかし、腕と膝(ひざ)を使って兄を穴の横に押しやり、はい出すことができた」とミコラさんは語った。

暗闇の中、畑の中をよろよろと歩いて最寄りの家まで行き、そこで女性に一晩介抱された後、父親の家で何日も心配しながら待っていた姉妹の元へ戻ることができた。

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