日本の研究力低下の原因の一つとされるのが、大学教員らの研究時間が減っていることだ。政府は研究に専念できる時間を確保するための方策の検討に乗り出す。6月上旬の閣議決定をめざす科学技術・イノベーション政策の年次戦略「統合イノベーション戦略2022」に盛り込む。

文部科学省の調査によると、大学教員らが職務にあてる時間のうち、研究時間の割合は02年度には46・5%だったのが年々減り、18年度は32・9%と3分の2まで落ち込んだ。市民講座や研修などでの講師役としての参加や、競争的研究費の審査、国の審議会への出席など、研究以外の活動の割合が増えていることが原因だ。

研究時間の減少は研究の中核を担う博士号取得者が日本で減っている原因の一つにもなる。戦略の原案では「研究力の低下だけでなく、研究者の職業としての魅力の低下にもつながる」と指摘する。
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