原料高騰で注目の総菜は「ギョウザ」 ピンチの「唐揚げ」にはない強みとは?

原料高騰、惣菜が並べられない事態に
景気が芳しくないなか、原材料が昨年から高騰しており、食において厳しい状況が続いている。日本の企業物価指数をみてもわかる。

・原料1本のリスキーさ

その一つが原料のリスク分散があり、今後、取り組まなければならない火急の件だろう。
つまり1つの原料に頼った商品は、何がしかの問題が勃発すると、たちどころに売り場に並べられなくなるからだ。事実、今、問題となっているのが、昨年、話題となった唐揚げである。唐揚げに使用されるカットされた鶏の供給不足は今もなお続いているのだ。

・唐揚げピンチ!

「鶏がない」と言われだしたのが2021年後半、特に10月以降からスーパーにとって死活問題となった。
唐揚げ用に加工された鶏の主な輸出元はタイ産である。約50万トン、2500億円相当がタイから輸入されているという。加工された鶏の全体の6割がタイ産なのである。
それが昨年の8月ごろからタイでもコロナの感染者が拡大し、鶏の加工工場の従業員の感染により、人手不足に陥り、工場内での感染拡大を防止するため、稼働停止、もしくはフル稼働しなくなったのだ。そのため輸入が滞り、タイ産の加工鶏の価格が急上昇した。
11月ごろには、スーパーは12月のクリスマス商戦に向けて、必要な加工鶏を集めるべく、代替えとしてブラジル産も検討された。しかし、カットの違いから唐揚げに使用しづらいといった問題もあり、各社どうすべきか悩んでいる間にブラジル産さえも瞬く間に価格が上昇してしまったのだ。
現状
今、海外より国産のほうが供給も安全なため、切り替えを始めているスーパーもある。国産鶏をかき集め、自社工場でカットし、何とか1キロ1000円で抑え込む形で販売しているのだ。とはいえ、国産を使用しているため、唐揚げが儲かる惣菜ではなくなりつつある。
主原料が1本の唐揚げのリスクからの脱却

そのように考えると、一つの原料が主体の「唐揚げ」のような商品の代わりになる商品を同時進行で売り場に並べる必要が出てくる。

・いろいろな原料で原価調整が可能、それがギョウザ!
そこで定番のギョウザに注目した。
ギョウザは上の図のように定番中の定番である。
ギョウザの具材を見ると、単一原料(唐揚げ、焼き鳥、とんかつ)ではなく、野菜、そしていろいろな具材をミックスして成り立つ商品である。確かにギョウザの皮は、小麦を使用している。しかし、中具との比率から、具材の調整のいかんで原価を調整することがまだ可能なのである。つまり原料のリスク分散ができる。
ギョウザはその上、冷凍技術の発達もあり、商品のレベルもアップしており、冷凍に向いている商品と言える。
既にスーパーの多くでは、冷凍した状態で店に届けられ、店舗内で焼かれる。
唐揚げのプリフライ(揚げた状態で冷凍されたもの)はあるものの、衣がどうしても不自然になりやすい。
冷凍されたギョウザは、野菜の旨みを瞬間冷却することで封じ込め、長時間、保持ができ、むしろおいしいのである。当然のことながら人件費も大幅カットできる。

昨年は唐揚げのブーム到来であまりギョウザについて話題に上がらなかった。しかし、昨年あたりから餃子は多様化しているのだ。そこで他の業態、外食、コンビニ、ドラッグストア、そして自販機によるギョウザの現状を見てみよう。

https://news.yahoo.co.jp/byline/ikedaeri/20220526-00296178