ゼレンスキー氏、州の情報機関トップを「利己的」と解任…引き締め図る

【キーウ(キエフ)=渡辺晋】ウクライナ大統領府は、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が29日、東部ハルキウ州と州都ハルキウを視察し、兵士らを激励したと発表した。ゼレンスキー氏が首都キーウ周辺から離れたのは2月24日のロシアによる侵攻開始後初めてで、反転攻勢に向けて士気を高める狙いとみられる。

防弾チョッキを身につけたゼレンスキー氏は国内第2の都市ハルキウで、露軍の攻撃で破壊された行政庁舎や住宅などを視察した。州の前線拠点も訪れたゼレンスキー氏は、「国家のために命を賭してくれていることに感謝する」と兵士らに声をかけ、勲章を手渡した。

州北部ではウクライナ軍が5月初めに反撃に乗り出し、露軍の占拠地を相次いで奪還したが、州知事は、露軍が州の31%を依然占拠していると報告した。隣接するドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)では露軍が攻勢を強めている。

 ハルキウ市長は29日夕、市内が露軍に砲撃されたと明らかにした。前線に足を運び、兵士を鼓舞したゼレンスキー氏の行動に、ロシア側は神経をとがらせているようだ。

 ゼレンスキー氏は29日深夜のビデオ演説で、「国家のためでなく、利己的に仕事をしていた」として、ハルキウ州の情報機関トップを解任したと述べ、引き締めも図った。ルハンスク州の激戦地となっている要衝セベロドネツクについては、住宅の約3分の2が破壊され、通信も遮断されていると説明した。

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